前進する

息子がいよいよ前に進むようになった。今朝方見ることができた。

まだ這い這いには至っていない。両手を前に突っ張り、それを支えに下半身を引きずるような形で、足も十分には使えていない。それでも、これまでの前進しようとして後退してしまうような動きに比べて、はっきりと前に進むようになった。

お腹を持ち上げ、わずかだが前に動き始めたことについて書いたのは

9月7日の日記だが、それから2週間弱、子供の成長はまさに日進月歩である。

息子の通う保育園は、斎藤公子という教育家の理念・理論に従って運営されている。それによると子供の前進運動の段階は、「ずり這い」→「両生這い」→「這い這い」という順に進むらしい。おそらく全国的に共通した呼び名ではないだろう。「這い這い」については言うまでもないが、「ずり這い」は文字通り体を地面に着けたままズリズリと前進する運動、「両生這い」というのはそこから少し進化して、体を引きずりながらも左右の手足が交互に出せるようになった運動を指すようだ。

これに従うと、息子の段階は「ずり這い」になるのだろう。実際に見ると、きれいに体を引きずっているのではなく、どういう原理で推進力を得ているのかよくわからない努力によって前に進んでいるとしか思えないのだが、形容しがたい動きである。0歳クラスの担任保育士は、尺取虫のようと言っていたが、それもなんだか違う気がする。冬場、コタツから出たくないのだが、テレビのリモコンは手を伸ばしてもギリギリ届かないところに置いてしまっている、しかし断じてコタツからは出たくない、ゆえにコタツからはみ出す体の面積を最小にすべく必死こいて手を伸ばして、少しだけ体を進める――強いて譬えるなら、こんなイメージが近いかとは思う。あくまでイメージだが。 

さて今朝のこと、息子の前進を確認できたのが嬉しく、ついもっともっととなって、彼が手を伸ばしていたペンを遠くに置き直すということをしていたら、嫁さんに窘められた。曰く、意欲を殺さない程度のところで取らせてあげて、ということである。ぼくは少し反省した。