再び、ところてんとダイエットについて

関西の出身であるからなのかどうか、ところてんは黒蜜をかけて食べるものというイメージがあった。いや、実際はところてんを黒蜜で食べた具体的な記憶があるわけではなく、最近になるまで口にしたことさえほとんどなかったように思う。ただそういうイメージだけはいまだに強く根付いている。ウィキペディアを鵜呑みにするのもどうかと思うが、ところてんの項での記述によると、関東以北・中国以西では酢で食べ、関西では黒蜜をかけるのが一般的となっている。ならばぼくの幼少期以来のイメージも、こういった説を裏付けているということになろうか。

さて、こんな話から切り出すのは、何もところてんの味付けについての正統論争をしたいがためではない。ネットでところてんダイエットについて調べていたところ、味の単調さのせいで挫折したという人がちらほら目についたので、少し気になったのである。

ぼくも嫁さんも、一度気に入ったメニューができると毎日でも食べられる人間なので、ところてんをそこまで嗜好しているわけではないにせよ、味が単調であることは苦痛にならない。だが、たしかにそれが気になる人もいるのだろうなと思う。べつにところてんが究極のダイエット法というわけではもちろんないのだから、自分に合わなければさっさとやめて別のやり方に切り替えるのも一つである。しかし、いろいろな味を試して組み合わせの妙を発見してみるというのも、もはやダイエットからは離れるかもしれないが、一興である。普通のところてんより少し高いが、ゴマダレが付いているのもなかなか美味かったし、ポン酢をかけてもまた違った風味になる。黒蜜はというと、さすがにダイエットの趣旨から離れるどころか裏切ることになりかねないが、まあたまにはいいんじゃないかな。

ところてんの効用とされていることについては前に書いたが、ぼくとしては低カロリーということよりも、食前に摂取することでの糖およびコレステロールの吸収抑制効果と整腸作用の方が重要だと考えている。食事制限の主役というよりも、ダイエット補助食品的な位置付けだ。単調な味を我慢して腹を膨らますといったものではなく、少々のカロリーなど頓着せずにバリエーションを付けて楽しんだ方がいいように思うのである。どのみちカロリー燃焼など、まともにやろうと思えば運動に頼るしかないだろう。

だから、ところてんであれリンゴであれ、そういったものを「主食」にダイエットを図ろうなどというのは、個人的には狂気の沙汰としか考えられない。ただ体重を減らすことを目的にするならば、極端な食事制限にも一定の即時的な効果があることは認めるが、身体の全体的なバランスにかかる負荷が大き過ぎるように思う。まったく運動をしていないぼくが言うのもアレだが、ダイエットの正道は、過負荷にならない程度の運動を継続し、基礎代謝を上げていくことにしかないんじゃないだろうか。何で見たか聞いたか忘れたが、極端な食事制限を行なうと体が飢餓状態に陥り、普段よりもカロリーを吸収しやすくなるようなメカニズムが作動するという。リバウンドというやつが生じるのもこのためだ。それを防ぐ意味合いでも、急に食事の量を減らすのではなく、ある程度の食事量は保ちながら、筋肉を付けることで代謝を活性化させるのが重要なのだろう。摂取カロリーを制限するよりも、日常的なカロリー燃焼量が上がるような体作りを、というわけである。

偉そうに書いては見たが、繰り返すと、これらはぼく自身がまるで実践できていない事柄である。ところてん食ってりゃなんとかなるだろ、程度の腹づもりで舐め腐ってるのはお前の方じゃないか、と言われれば反論しようもない。なのでそろそろほんと、体を動かすこともしなければと、考えてはいるのだ。そう、運動の秋である。